HODGE PODGE
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2026.2.11

清濁併せ呑む

閲覧は自己責任にて。

先日は寒波の影響で、しっかりと雪の積もった千早赤阪村。
冷える店内ではありますが、本日は箱に入ったままだったSALSA Timberjackを店頭に並べました。

SALSA CYCLES Timberjack SLX 27.5+

Mint Green Sサイズ ¥308,000

Timberjackは当店で最も販売台数の多いモデル。
“バカの一つ覚えみたいにまたTimberjackか” と思う方がいるかもしれませんが、それだけおすすめする理由を本日は書いていこうと思います。
本来であればTimberjackがV1からV2フレームにモデルチェンジした際(2022年?)に書こうと思っていた(書くべきだった)ことがほとんどなので、今更な部分もあると思いますが、あらためてTimberjackの魅力をご紹介していきましょう。

 

まずはじめに、フレームの簡単なご紹介をさせていただくと、Timberjackは様々なオフロード・アドベンチャーに対応する汎用性を備えたハードテールMTB。
SALSA CYCLESは “Adventure by Bike” をスローガンに掲げており、自転車を単なる「移動手段」や「競技の機材」としてだけでなく、新しい場所へ行き、新しい人々に出会い、自分自身を成長させるための「冒険の道具」と定義しています。
今回ご紹介するTimberjackも単なるMTBではなく、冒険の道具として設計されたアドベンチャー・トレイルバイクというわけです。

・フレーム素材

フレームには6061 T6アルミが採用されています。
6061 T6アルミは耐食性に優れ、強度、軽さ、加工性のバランスが非常に優れた素材。
この加工性の高さが味噌でして、場所ごとにパイプを複雑に変化させることによって、設計者の意図を形にしやすいことが特徴としてあげられます。
メイントライアングルはダブルおよびトリプルバテッド加工が施されており、一方でシートチューブは繊細に作られています。

・オルタネーター2.0ドロップアウト

フレームエンドはオルタネーター2.0というSALSAオリジナルのスウィング・ドロップアウトが採用されています。
この機構により、リヤセンターを調整したり、シングルスピードでの運用が可能になります。
“Adventure by Bike”をスローガンに掲げる、SALSAらしいシステムで、ディレイラー・ハンガーや変速機のトラブルで走行が困難になった際も、シングルスピード化して難を逃れることができるし、乗り方に応じてバイクの乗り味を変化させることもできます。

ちなみにTimberjack V1にはオルタネーター1.0が採用されていました。
QR~BOOST規格までをカバーできたり、Rohloffハブが使用できたりと多彩なオプションが選択可能でしたが、プレートの固定力が2.0よりも劣り、稀にプレートがずれることがありました。
2.0ではスウィングプレートの固定力が改善されたことと、更に強固な2ポジション固定プレートを選択できるようになりました。
2ポジション固定プレートは、420mmと430mmからチェーンステー長を選択でき、構造的にプレートのずれが起こることがありません。
スウィング・プレートでは、ずれが起きないようにサポートボルトが付属しますが、固定プレートではサポートボルトそのものが排除されています。

オルタネーター2.0
2.0固定プレート

ギヤードの完成車では2ポジション固定プレートが付属しており、入荷時は430mmに設定されていますが、トレイルを走るのであればぜひ旋回性の高い420mmを試していただきたい。
シングルスピードにしたい場合や、無段階でチェーンステー長を調整したい場合は、スウィング・プレートに交換することで420mm~437mmの幅で調整が可能になります。
バイクパッキングの際など、より安定性を重視したい場合はチェーンステーを伸ばしてみると良いでしょう。

2.0スウィングプレート

余談になりますが、ブレーキ側のサポートボルトの働きが1.0と2.0では逆になっています。
1.0ではプレートが前方向にずれないように機能するのに対して、2.0ではプレートが後方向にずれないように機能します。
走行中にリヤブレーキをかけた際は、ホイールが後方向に引っ張られようとするはず。
実は1.0のプレートがずれやすい原因はこのブレーキ側のサポートボルトの向きにあるのではないかと思っているのですが、何か理由があってのことだったのでしょうか?
何にせよ、オルタネーター2.0では固定力が改善されているので、スウィング・プレートでもトラブルが起きにくくなったのは嬉しい点です。

・ジオメトリー

一言でいえば、プログレッシブ・トレイル・ジオメトリー。なのですが、せっかくなのでもう少し深く掘り下げてみましょう。

まず特筆すべき点は広いタイヤクリアランスと短いリヤセンターの両立。
具体的には29×2.6″のタイヤクリアランスで最短420mmという非常に短いリヤセンターを実現しています。
ショートチェーンステーは外径の大きい29インチホイールでの旋回性能を高めるために、各社が重要視している部分ですが、タイヤが太くなると、必然的にリヤセンターを伸ばす必要があるため、タイヤクリアランスの広いフレームほどリヤセンターは長くなる傾向にあります。
タイヤクリアランス2.4″以下であれば420mmよりも短いフレームは見受けられますが、2.6″で420mmというのは、そう多くありません。
これはTimberjack V1とV2の最も大きく変わった点(V1では2.6″を装着する際は、リヤセンターを伸ばす必要があった)でもあり、SALSAが最重要視した部分であると思います。
このショートチェーンステーと調整可能なオルタネーター・ドロップアウトの組み合わせが、トレイルからバイクパッキングまでをもこなす懐の深さを実現しています。

実はTimberjack V2は広いタイヤクリアランスと短いリヤセンターを実現するための工夫として、BBシェルを後方にオフセットさせています。
その分、座った状態ではシートアングルの見た目以上にペダルが後方に位置します。
リヤセンターが短いとフロントタイヤが浮きやすくなり、登坂時はバランスを崩しやすくなりますが、重心が前よりになるため、フロントの挙動も安定しています。
TimberjackはV2になってリーチも長くなっていますが、座った状態でもポジションを適正に保ちやすく、ペダリング効率の向上にも一役買っています。

ヘッドアングルは66.4°(29インチ130mmサスペンションフォーク25%サグ時)
Timberjackのジオメトリーを語る上で、気を付けなければならないのは、25%のサグを踏まえた数値であるということです。
実走時のフィーリングを重視するSALSAらしさが表れていますが、他社のジオメトリーはサグ無しの状態で表記されていることも多いので、単純な数値の比較で考えることはできません。
ヘッドアングルはサスの沈みによって立つことになるので、Timberjackのヘッドアングルはサグ無しの状態だと、数値よりも寝ることになります。(65°ぐらいでしょうか?)
このしっかりと寝かされたヘッドアングルは、下りの急斜面でもフロントが突っ込みにくくなったり、高速域での安定性、サスペンションフォークの作動効率が上がる、といったメリットがあります。
また、ヘッドアングルは装着するフォークの肩下でも数値が変化します。
Timberjackは100mm~150mm トラベルのサスペンション、または肩下483~501mmのリジッドフォークに対応しており、用途に合わせたフォークの選択肢が多い点も特徴的です。

BBドロップは56.6mmと浅め。
この数値もサグを踏まえた数値なので、サグ無し時を仮想するならばBBドロップはさらに浅くなります。
BBドロップは数値が大きいほど低重心になり、高速域での直進安定性やコーナリング時の安定性が増します。
その反面、ペダルストライクのリスクや、タイトなコーナーでの左右の切り替えしがしづらくなる、といったデメリットもあります。
下り性能に重きを置くバイクではBBドロップが大きいモデルが多いですが、浅めのBBドロップはTimberjackが下り一辺倒のバイクではなく、アドベンチャー・トレイルバイクである、という性格を表していると思います。
トレイル探索などで未知のトレイルを走る際でも、ペダルストライクの心配なくペダルを回し続けることができ、木々の間を縫うようなタイトな切り返しも難なくこなせる、というわけです。
この小さめのBBドロップと29インチの組み合わせが腰高に感じる方には、ホイールサイズを27.5インチにする選択肢が残されています。
27.5×2.8″のタイヤはエアボリュームを損なうことなく、バイクの重心を下げることができます。

・ホイールとタイヤのオプション

Timberjackは 29×2.1~2.6″と27.5×2.8″ を想定してデザインされてます。
完成車では29×2.6″と27.5×2.8″ の仕様から選択が可能です。
今回入荷したのは27.5×2.8″のモデルになります。
27.5×2.8″は低圧にすることで高い路面追従性と優れたグリップ力を発揮します。
29×2.6″と比較して低重心になることで、コーナリング中の荷重がダイレクトにタイヤに伝わりやすく、タイヤが路面に張り付くような粘りを感じとれます。
今回27.5+モデルを選択した理由は、SLIME PARKを運営していて、下りのコーナーが苦手に感じていたり、もっと上手くなりたいと思っている方が、想像よりも多いと感じていたからでした。
初心者の方やコーナーリング時の倒しこみに不安がある方は、27.5+を試してみることが上達の近道となるかもしれません。

左:29x2.6" 右:27.5x2.8"

・各種のマウント

アドベンチャー・トレイルバイクとしてのポテンシャルの高さはボトル&アクセサリーマウントにも表れています。
S~XLサイズではメイントライアングルに2つのボトルマウントを備えており、ダウンチューブ側は3パックマウントにも対応しています。(XSサイズはシートチューブ側のマウント無し)
全サイズとも、ダウンチューブ下側にアクセサリーマウントを備え、さらにはダイレクトマウント・トップチューブバッグ用のマウントも備えています。
SALSA Rack Lockを使えば専用のAlternator Rear Rackを付けることができるし、さらにフォークをリジッドに交換すれば、冒険の旅に出るのに十分な積載量を確保することができます。

ダウンチューブ上部は3パックマウント対応
トップチューブバッグマウント

・フレームカラー

フレームカラーはミントグリーン。
トレイルバイクは渋めのカラーが多い印象ですが、パステル調で非常にポップ。
山でこういうポップなカラーのバイクに泥を浴びせて乗り回すのが良いなー、と思っています。
このモデルを選択したのは、先述の理由もありますが、実はフレームカラーによるところも大きいのです。
意外と可愛いカラーのMTBって少ないんですよね。

・完成車のパーツ構成

フォークはRockShox 35 Silver TK 130mm
登りも下りもそつなくこなせる、130mmストロークのサスペンションが付属します。
インナーチューブ径は35mmで、しっかりとした剛性があります。
ただし、インナーチューブがスチール製なので、重量面ではネガティブさもあります。
コンプレッション調整も付いていないので、コーナーやブレーキ時の踏ん張りを求める方や重量を軽くしたい方はアップグレードを考えても良いでしょう。

ドロッパーはトラベル量の変更が可能なものが標準で付属。

タイヤはフロントにグリップ重視のMinion DHF、リアに転がり重視のRekonの組み合わせ。
リムもチューブレスにも対応しているので、27.5×2.8″の特性を活かすべく、チューブレスでの使用がおすすめしたいところ。

リアディレイラーにはシマノSLX M7100を採用しつつ、カセットやシフターにDeoreを混ぜることで、コストと性能のバランスを取っています。
カセットもハブもシマノ製でマイクロスプライン規格の12速です。
他社の完成車だと、サードパーティ製カセットをミックスしたHGスプライン規格の12速、という仕様もあったりしますが、部品交換の際に思わぬ費用がかかることもあるので、シマノパーツで統一されているのは嬉しい点です。

ブレーキはシマノMT-410
レジンパッド専用のモデルで、ホース内径の太いBH59を使用するエントリーグレードです。
長い下り坂やハイスピードな局面で、パワー不足を感じる場合はアップグレードを検討しましょう。

といった感じで、随所にアップグレードを検討したいパーツはあるものの、実際に乗り出してみて、不満を感じたところからアップグレードしていけるのが、完成車の魅力。
パーツも大幅に値上がりした昨今の事情を踏まえると、コストパフォーマンスに優れたパッケージといえると思います。
まずは完成車で乗り出してみる、というのが良き選択肢かもしれません。

・実走では

これまで、長々と書いてきましたが、大切なのは実際に乗ってみてどうか、という点です。
これは乗った人にしかわからない部分であり、文章で伝えるのは最も難しい部分でもありますが、臆せず書いていきましょう。

まず乗ってみて一番驚いたのは、アルミフレームとは思えない、しなやかさを感じられた点です。
軽さや加速の良さ、といったアルミの長所は確かに感じられるのですが、それでいて嫌な硬さが無く、良い意味でアルミフレームの既成概念が覆されます。
場所ごとに肉厚調整されたパイプとワイドタイヤが見事に調和しており、タイヤが路面に吸い付くような接地感があります。

ショートチェーンステーのおかげで、外径の大きいタイヤでもモッサリ感が無く、タイトなコーナーでも機敏に取りまわせます。
チェーンステーが短いからと言って、登りでフロントが浮くような挙動も感じられず、非常にバランスの取れていて、これからトレイルデビューをする方からスキルアップを目指す方まで、多くの人に良さを実感してもらいやすい自転車だと思います。

・まとめ

下れるスペックが正解とされがちなMTB業界ですが、Timberjackは下り一辺倒のバイクではありません。
ロングディスタンスからバックカントリー・ライディング、あるいはバイクパッキングなど、あなたの遊びに合わせてカスタムできる懐の広さがあり、その全てで高いポテンシャルを発揮できることが最大の魅力であると思います。
ぜひあなたの遊びの相棒としてTimberjackを選択肢に加えてみてください。

それではみなさま、良きMTBライフを。